子供の頃からこの映画の事は知ってたのですが、実際に観たのは全く初めてでした。昭和30年代前半の作品。
核実験の影響で体が液体化してしまった液体人間が発生。なんと液体人間が触れると触れられた人も液体化してしまうという、なんというか吸血鬼みたいな恐ろしい存在なのですが、なんといいますか、お話の進展は結構まどるっこしいし、CGによるリアルな表現に慣れてしまった現代の視点からは苦心の特撮もいま一つおっかなさは感じない映像表現だったかも知れませんね。
液体人間ってのは元々が普通の人間なのだし、望まずしてそんな訳の分からない存在にさせられてしまったのですからもう少し切ない(同情されるべき)取り扱いをされるのかと思ったのですが、もう単なる害虫みたいな扱いで、なんだか気の毒でした。まあ、確かに液体化してしまうと、もう誰が誰やら分からないし、コミュニケーションとろうにも、相手構わず襲ってくるわけで退治するしかないとは思うんですけどね。
結局、『核』が悪いんだというやや紋切り型の締めくくりなんですけど、『被害者』が『怪物化』して退治されてしまうというプロットは今となってはお話としては作りにくい内容でしょうね。それこそ某セブンの某話みたいな感じで…。そういう意味で、一応普通に観られるこの作品、実は結構貴重なのかもしれません。
純粋にお話だけ追いかけると、ええっ!みたいなところが多いのですが、昭和30年代の町並みや風俗を観られるという点ではとても面白いです。まさにリアル三丁目の夕日です。CGとか使ってなくて、そのままの町並みですからね(笑)。CGで作られた当時の景色は見事とは言いながらもなんだか綺麗過ぎる感じがしてたのですが、この映画で出てくる町並みはそんなに綺麗でない雰囲気もきちんと記録されていて、まさに臨場感にあふれてます。どちらかというと、それらの雰囲気を感じるためにだけでも十分に観る価値があるかも知れません。『大人』の観客を意識してるのか、お色気シーン(当時の観点での)も結構出てくるのがちょっと笑えます。
あんまり繰り返して観たいというほどでもないですけど、最近の映画に飽きた時にたまにこういう作品を観てみると結構思わぬ発見があって面白いですね。
今月はこの手の『○×人間』シリーズをいろいろとやるので、楽しみです。